食後すごく眠い…。食べるとやってくる眠気の理由や対処法

あくびをする女性 その他

「食事のあと、すごく眠い」「眠くて午後の作業に集中できない」……。職場や学校で、そんな悩みを抱いたことはありませんか?特に昼食後の眠気は心地よく、このままお昼寝したい気持ちになりますよね。

今回は、食後に眠気を感じる原因や対処法をご紹介します。

健康な心身のためには眠気に素直に従うことも大切ですが、時には眠気を乗り越えてがんばらなくていけないシーンも多いものです。眠さを感じずに過ごすコツを学び、実生活に役立てていきましょう。

食べると眠くなる3つの原因

ここでは、食後に眠気を感じる原因を3つご紹介します。周りを見ていると、ランチ後でも午前と変わらないパフォーマンスを発揮できている人もいますよね。

自分とのライフスタイルの違いは何なのかを観察して、改善に役立てていきましょう。

1.糖質の取りすぎ

食後に眠くなる原因として、糖質の取りすぎが考えられます。糖質は炭水化物の一種で、体のエネルギー源です。

糖質が含まれている食品を摂取すると、体の中でブドウ糖に分解されて血液中に吸収され、血糖値が上昇します。上がった血糖値を下げるために増加する物質が、すい臓から分泌されるインスリンです。

適量の糖質摂取であれば、インスリンが速やかに血糖値を下げてくれます。

しかし、過剰に糖質を摂取してしまうと、インスリンの分泌が追い付かず、一時的に血糖が高すぎる「過血糖」状態に陥ってしまうのです。

その結果、過血糖による眠気や倦怠感、情緒が不安定になる、といった症状が現れる場合があります。

2.オレキシンが作用している

食後の眠気には、神経伝達物質の一種であるオレキシンが関係している可能性があります。

オレキシンは脳を覚醒させる作用があり、眠気を防ぐためにも役立ちます。そのため、何らかの原因でオレキシンの分泌が不足すると、眠気を我慢しにくくなるのです。

オレキシンの不足による眠気の場合、ナルコレプシーという睡眠障害を患っている可能性があります。

また、ストレスや脳外傷などでもオレキシンが不足するケースがあるため、急激な眠気を感じる際は病院の受診や治療が推奨されます。

3.睡眠不足

日常的な睡眠不足も、食後の眠気を誘発する原因です。睡眠時間が不足していると、食後に血糖値が下がるタイミングで強い眠気を感じやすくなってしまうでしょう。

人体にとって必要な睡眠時間は、年齢層によって異なります。例えば10代では8~10時間、成人以降は6.5~7.5時間、60代では6時間のように、加齢に応じて必要睡眠時間は短くなっていく傾向にあります。

さらに、生まれ持った遺伝子によって心身の疲れを癒すために必要な睡眠時間は変動するため、今の自分にとって適切な睡眠時間を理解することが大切です。

睡眠不足の原因には、睡眠の質や寝付きが悪いことなどが挙げられます。良質な睡眠を得るために、睡眠サポートサプリメントの摂取なども検討してみましょう。

食後の眠気が特徴的な「血糖値スパイク」とは

厚生労働省によると、食後に強い眠気を感じる場合は「血糖値スパイク(食後高血糖)」の状態になっている可能性があります。

人間の体は、通常であれば食後2時間以内に血糖値の値が正常に戻ります。食後高血糖とは、食後2時間が経過しても血糖値が高い状態のことです。

食後高血糖は、放置しておくと脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患を引き起こす可能性があります。

また、食後血糖値の症状は、隠れ糖尿病を発見するためにも役立ちます。食後の眠気や集中力の低下に悩まされている人は、糖尿病内科や代謝内科などを一度受診してみてはいかがでしょうか。

眠気を感じにくい食事のコツ

ここでは、眠気を感じにくい食事のコツをご紹介します。食後の眠気に悩んでいる人がまず改善すべきことは、食事との付き合い方です。

食べ物の内容や食に関するライフスタイルを変化させることで、食後の眠気から解放される可能性が高まるでしょう。

1.血糖値が上昇しにくい食べ物を食べる

食後の眠気の原因として挙げられるのが、急激な血糖値の下降です。眠気を防ぐためには、血糖値が上昇しにくい食べ物を選び、下降を防ぐようにするとよいでしょう。

栄養バランスを心がけながら、低GI値(GI値=食後にどのくらい血糖値が上がるかを示した指標)の食べ物を摂取することをおすすめします。

お米やパンなどの炭水化物や、脂肪分が多い肉類などは血糖値が上がりやすいとされています。

反対に、野菜・きのこ・豆類・海藻類などは血糖値が上がりにくい食べ物です。炭水化物を過剰に減らすとエネルギー不足になってしまうため、適度に減らしつつバランスを維持しながら食事をとりましょう。

2.暴飲暴食を避ける

食後の眠気を防ぐためには、暴飲暴食を避けることをおすすめします。

暴飲暴食すると、消化器官が消化するために体内で大量のエネルギーを消費した結果、分泌された消化酵素が血糖値の上昇に影響を与える可能性があります。

さらに、摂取した糖質や脂質が血液の中に流れ込む過程で、血糖値が急激に上昇してしまうのです。

血糖値が上がったときに、体はインスリンというホルモンを分泌させて血糖値を下げようとしますが、暴飲暴食ではインスリンの分泌が追いつかず血糖値がどんどん上がってしまいます。

3.15分以上かけて食べる

食後の眠気対策では、一度の食事に15分以上かけることが大切です。時間をかけて食べると、口から入った食べ物が胃から小腸へゆっくり移動していきます。

食べ物の消化と栄養素の吸収が少しずつ行われるため、血糖値の急激な上昇を防げるでしょう。

また、よく噛みゆっくり食べることで満腹中枢も刺激されるため、暴飲暴食や食べすぎを防ぐことも期待できます。

少量ずつの消化では栄養素が効率的に吸収されるため、血糖値自体も安定しやすくなるのです。

4.野菜から食べ始める

食事をとるときには、炭水化物や脂質が多い食べ物よりも野菜から先に食べ始めましょう。野菜には水溶性・不溶性の食物繊維が多く含まれており、腸の中で水分を吸収します。

消化の速度を緩やかにしてくれるため、血糖値の上昇が穏やかになり眠気を防止できます。

そもそも野菜は、一部を除き糖質が少ない食べ物です。血糖値を上昇させる作用が弱いだけではなく消化も遅いことから、栄養素がゆっくりと吸収されていきます。

ただし、野菜の中でもさつまいも・とうもろこし・かぼちゃ・じゃがいも・人参・玉ねぎ・れんこんなどは糖質が多いため、注意してください。

食後の眠気の乗り越え方4選

ここでは、食後の眠気を乗り越える方法を4つご紹介します。「ランチ後に眠い」「仕事に集中できない」と悩んでいる人は、眠気対策を取り入れてストレスのない状態を目指しましょう。

1.15時までに短時間の昼寝をする

食後の眠気がつらいときは、短時間の昼寝を取り入れることをおすすめします。昼寝は15~30分間が最適といわれており、30分以上の仮眠は夜の睡眠に悪影響を及ぼすと考えられています。

また昼寝を終わらせる時間は、遅くても15時までがベターです。人間の体は15時頃を目安に夜モードに入るため、昼寝が15時を過ぎると夜に寝付きにくくなってしまいます。

職場などに休憩室や仮眠室がある場合は利用し、ない場合でもなるべく体の負担が少ない姿勢で仮眠をとってみましょう。

2.外的な刺激を取り入れる

十分な睡眠時間を確保していても、退屈な仕事や勉強ばかりしていると眠気を感じてしまいますよね。人間の脳を覚醒させるためには、好奇心をくすぐるような外的な刺激が大切です。

そのため、眠気の対処法としては、眠気を感じやすい時間帯にワクワクできるようなタスクを組み込んでおくことが挙げられます。自分が一番好きな作業や得意な作業、やりがいを感じられる作業などをスケジューリングして、頭を起こしていきましょう。

3.体温を下げて交感神経を刺激する

眠気を覚ますためには、興奮や覚醒を司る交感神経を刺激することがポイントです。眠くて耐えられそうにないときは、無理のない範囲で体の一部を冷やして体温を下げてみましょう。

例えば冷たい水で顔を洗ったり、冷却材を首に当てたりすることなどが挙げられます。

冷たいものが体に当たると交感神経が刺激され、血管が収縮して血圧が上がる中で、眠気が自然に冷めていくことが期待されます。

4.ストレッチで血行をよくする

体を冷やすことと同様に、軽い運動でも交感神経が刺激されて眠気を覚ましやすくなります。学校や職場での運動が難しい人は、簡単なストレッチをして血行をよくしていきましょう。

ストレッチで血液の流れが改善されると、脳にも血液がよく流れるようになり、頭もスッキリしていきます。

食べたあとに眠いときは、食事の習慣から変えてみよう

今回は、食後に眠気を感じる原因や対処法をご紹介しました。

睡眠欲は、食欲と同じように自分ではコントロールできない生理現象です。

しかし社会で生活する中では、人間として自然な眠気を感じているだけでも、周囲からの評価が変わってしまうことがありますよね。

生きるために睡眠が必要である以上、眠気自体をゼロにすることはできません。

しかし、少しの工夫や生活の変化を取り入れることで、眠気を極力抑えて生活することは可能です。眠気を払拭する方法を自分なりに見つけ、より快適な毎日を過ごしていきましょう。

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